可変レバレッジド・ポートフォリオのリバランスについて議論する




可変レバレッジド・ポートフォリオを採用することに決めた皆さん、お待たせいたしました。

ROKOHOUSE式 可変レバレッジド・ポートフォリオ

2017年12月9日

ちょうど本日から2018年度分の現行NISA枠が使えるとの噂もあり、僕もレバレッジETFによる節税メリットをフルに生かすべく資金を用意しています。

可変レバレッジド・ポートフォリオが優秀なもう一つの理由

2017年12月16日

今日は、可変レバレッジド・ポートフォリオにおけるリバランスのルールについて議論していきたいと思います。

リバランスの方法

まずは簡単に、リバランスの方法について書いておきます。

わざわざ解説するまでもないことだとは思いますが、初心者の方もいらっしゃるかもしれないので、一応ね。

リバランスをするときは、まずポートフォリオの総資産額がいくらになっているのかを確認し、それを自分の決めているポートフォリオの比率を掛けます(仮に全体が200でSPXL4割なら80)。

そのときにあるのが便利なのがポートフォリオのトラッキングアプリで、例えばコレは僕が利用しているPortfolioLiteというiOSのアプリです。

とりあえず今のところ無料で使えてるみたい。

こんな感じで、パーセンテージで各ETFの割合を表示してくれると今どれだけ乖離しているのかがわかりやすいですね。

あるべき各ETFの資産額を求めたら、その額に近づくように各ETFを売買していくだけです。

簡単ですね。

リバランスにはいくつか考慮すべき点がある

リバランスで僕が考慮すべきだと考えていることはいくつかあります。

  • 手数料
  • 給与とBNDの分配金
  • パフォーマンス
  • 株式と債券のトレンド性

手数料

まず、手数料は当然ながら考慮すべきコストで、リバランス間隔が短いほどコスト高となります。

ただし、ROKOHOUSE式 可変レバレッジド・ポートフォリオの採用銘柄はたったの3種類なので、実はそこまでコストが高いわけではありません。

SBI証券の売買コストは、約定代金の0.45%(手数料下限5ドル/上限20ドル)です。これに加えて最大1.6ドル程度の課税もあるようですから、一度の売買に必要な最高額は21.6ドルです。

一度のリバランスで必要なコストは、3銘柄に対して1回ずつ売買すればいいので、大きく乖離していた場合で最高でも21.6ドル×3=64.8ドル(現レートで7400円弱)です。

つまり、年に4回リバランスをするとすると、7400円×4=29,600円ですので、1000万円を運用している場合はおおよそ0.3%程度がリバランスのコスト、500万円ならば0.6%程度がリバランスのコストということになりますね(運用額が小さければ、一度のリバランスに必要になる額も下がる可能性が高くなりますが)。

給与とBNDの分配金

また、BNDは毎月分配金の出るETFなので、リバランスの時に同時に再投資することを考えると、リバランスの間隔を広く取りすぎるとキャッシュが多くなり運用効率が落ちます。

これに加えて給与などを投下していきたい方もいるでしょうから、この観点でいえば資金が多めの方は3ヶ月くらい、少なめの方は半年くらいのリバランス間隔が良いのではないだろうか?という気がします。

パフォーマンス

もし、SPXL : TMF = 6 : 4のときに投資効率が最大になると仮定するならば、直感的には期間毎のルールではなく、一定の比率にポートフォリオのバランスが崩れたときに即リバランスをするというルールが優秀であるように感じます。

例えば、SPXL、TMF、BNDのいずれか1つが10%以上基準の割合よりも乖離した瞬間にリバランスを行う、というようなルールです。

しかし、このルールについては次のことを考えるとどうだろう、と考えるところがあります。

株式と債券のトレンド性について、次の章で解説したいと思います。

株式と債券のトレンド性について

これは海外サイトで紹介されていたSPYとTLTをベースにした戦略なのですが、SPY-TLTのスイッチング戦略というものがありました。

この戦略はとてもシンプルで、SPYとTLTのうち、過去3ヶ月で成績の良かった方に次の3ヶ月は100%切り替えながら運用するというものなんですね。

およそ10年に渡るバックテストでSPYを遥かに凌駕する高い成績を収めています。

もしこれが正しいのであれば、SPYとTLTは直近3ヶ月の成績が良かった方がさらに伸びる傾向があるということですから、実質的に逆張りになるリバランスをあまり頻繁にするのは損をするということになりますよね。

皆さんはこの戦略をみてどう思いましたか?

***

僕はこの戦略がうまくいったのは、おそらく偶然であると思いました。

グラフをよくみてみると、2008年のリーマンショックまではこの戦略はSPYに負けていて、リーマンショックのSPYの暴落にて一気に逆転しています。

つまり、たまたま暴落を避けることのできたルールがこのスイッチング戦略であり、普遍的に通用するような戦略ではないだろうと思ったわけですね。

ただし、リーマンショックにおいて、実際にSPYとTLTでリバランスをしないほうがドローダウンを大きく抑えることができたという大きな事実は知っておくだけの価値があると思います。

株と債券の反相関はあくまでも傾向であり、実際には同時に暴落したりするケースもあります。

そんなときにも慌てずに、事前に決めたルールに従って機械的にリバランスをするように心がけたいですね。

結論

そんなわけで、運用資金や給与からの積立額が多い人は3ヶ月に1度、運用資金が少なめという方には半年に1度を推奨したいと思います。

ただし、できるだけリバランスを少なくしてコストを下げたいという方であれば、1年に1回でもギリギリ機能するだろうとは思っていますし、むしろ暴落時などにそれがプラスに働く可能性もあります。

ですので、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月のうちから自分が一貫して実行できそうなリバランス頻度を選んでもらうというのがいいのではないでしょうか。

せっかくこのポートフォリオを使うなら現行NISAはぜひ活用したいところですから、1月にリバランスついでにNISA口座への買付を行うとすると、1,4,7,10月にリバランスをするというのが一例です。

過去データとしては、リーマンショックを含む場合は12ヶ月に1回のリバランス頻度の成績(シャープレシオ)がよく、リーマンショックを含めない場合は3ヶ月に1回のリバランス頻度の成績がよいというのが僕が確認している事実です。

どれくらいのタイミングでご自身が分配金の再投資や給与の積立を行いたいのかといったことと合わせて、このあたりは決めていただければいいのではないかと思いますね。

また、当然ながらリバランスのタイミングで、ほとんど乖離がなかった場合はなどはわざわざリバランスをする必要もないでしょう。

例えば、全ての銘柄で5%以上の乖離がなかった場合はリバランスは行わない、などのルールを事前に決めておくというのもいいアイデアかもしれませんね。

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12 件のコメント

  • リバランスの記事ありがとうございます。
    PortfolioLite早速入れましたが、すごい便利です。

    >>リーマンショックにおいて、実際にSPYとTLTでリバランスをしないほうがドローダウンを大きく抑えることができたという大きな事実は知っておくだけの価値があると思います。

    本当にこの箇所が難しいですね。
    兎にも角にも、リバランスのルールを明確化することは大切だと思い、今後の米国の調整に備えて、株と債権のバランスを保っていこうと思います。

    一点疑問なのですが、調整や暴落時においては、TMFの株価の伸びが非常によい為、SPXLとTMFを普段とは逆の4:6にした方がより暴落に強くなるように思えるのですが、そういった割合の調整もした方がいいのでしょうか?
    もし機会があれば記事等にしていただければ幸いです。

    P.S
    NISAに満額SPXLを入れてみたので、自分の子供のように、このSPXLを守りつつ育てていこうと思いますw

  • 昨日、たごさくさんという方からリプライをいただきまして、この記事について有意義なご意見をいただきましたのでご紹介しておきます。
    https://twitter.com/tagosa9/status/946419203556257793

    >一点疑問なのですが、調整や暴落時においては、TMFの株価の伸びが非常によい為、SPXLとTMFを普段とは逆の4:6にした方がより暴落に強くなるように思えるのですが、そういった割合の調整もした方がいいのでしょうか?

    さて、その上でこれに対する僕の意見ですが、過去の暴落時の傾向からは債券に資産をシフトすることでダメージを回避することができたということが多かったようです。
    ただし、ボラティリティの大きい局面であまり資産を偏らせると仮に株式が大きく反発したときなどに痛手を被ってしまいますし、僕個人の意見としてはこういった裁量的な判断が好きではないことをお伝えしておきます。
    何かこれまでの暴落時の傾向などの資料を読むことで考えが変わるかもしれませんが、とりあえず僕は資産の割合は変えずに、あとはリバランスするかどうかを考えるくらいでしょうか。

  • はじめまして!来年このポートフォリオを実際に運用してみようと思ったのですが、リバランスの際にETFを利確すると20%の税金がかかり、コストが嵩むような気がします。
    初めのうちは買い増しでリバランスすることで回避できますが、運用額が大きくなってくると買い増しに必要な額も大きくなり利確によるリバランスを余儀なくされるので、最終的にはコストが高くなってしまう事が避けられないのではないでしょうか?

  • >>ツイッターはフォロワーが増えた結果、わけのわからないレスが増え、忍耐力を試されるゲームになってきた。
    ツイッターでは色々な戦いをされているのですねw
    Adaptive Allocationも興味あります。が、おっしゃる通り、裁量的な判断は扱いが難しいですね。少なくとも、利益を産むのはSPXLですし、こちらの割合を大きめに保持していこうと思います。

  • リバランスの税金について

    リバランスにときに利確をするともちろん税金はかかりますが、それはその時点で利確をしなくても将来どうせ払うことになる20%なので、大きく損をするわけではありません。損をするのはその20%が将来稼ぐことになる複利分のみです。
    もちろん税金は先送りにするに越したことはありませんが、普通の人の運用年数スパンで考えれば、この20%の複利分だけならそこまで大した差にはならないのではないかと予想してます。

    ツイッターはフォロワーが増えればいいってもんじゃないんだなって気づきましたねw

  • こんにちは。大変興味深く読ませていただいています。
    これまで自分はSP500一本を買いましてきましたが、可変レバレッジド・ポートフォリオについて
    詳細なデータに基づいた考察とその可能性に大変驚かされました。
    一点気になるところは、ポートフォリオの鍵となるTMFについてですが、
    これの時価総額や出来高に対してはどのようにお考えでしょうか。
    リバランスが3か月~であれば、それほど問題にはならないというところでしょうか。

    • TMFの時価総額、出来高はたしかに少々不安がありますね。
      とはいえ、今のところ代替手段もないし、投資金額がそこまで大きくならなければまあ大丈夫じゃないかな、という程度に考えてました。
      何かもっと安心感の高い商品が買えるようになればうれしいですねえ。

  • リバランスの税金について追記ですが、基本的にリバランスは利確になってしまうため、もしSPXLやTMFで大きく損が出ているポジションがあれば、一旦精算して損だしすることによって先払いした税金を取りかえすという手段も使えますね。
    ただし、損だし自体に最大5000円ほどコストがかかるので、その辺で得するか考えながらやる必要がありそうですが。

  • 円は基本的にはbndの債券よりsp500と逆相関してるイメージですが、bndの代わりに採用したらリスクは減らないんでしょうか?それそのものが富を生む資産ではないんでリターンが悪くなるでしょうか?
    どうせ日本人なら生活防衛資金として多少は持たざるを得ないので、組み込めたら面白そうかとも思ったのですが。
    あくまで、逆相関はイメージなので、きちんと計算したら違うかもしれませんけどね。。。

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