株式と他の投資商品の比較




そもそも投資とは?

まずはじめに、皆さんに考えて欲しいことがあります。

次にあげるものはどのように区別することができるでしょうか?

株式、債権、不動産、FX、バイナリーオプション、金、石油、仮想通貨、馬券、パチンコの玉。

これらはすべて、お金を払うことで、見返りにリターンを期待して取引されるものです。その意味で、広い意味で投資という言葉を用いた場合は、これらはすべて投資と分類されることがあります。

たしかに、どれもミクロな視点で見てみると、チャートはあがったり下がったり、馬もパチンコも勝ったり負けたりであまり差がないようにみえるかもしれません。

しかし、この中で僕が投資の対象として認めるものは、最初の3つだけです。

僕が投資という言葉を使うとき、それ自体が新しい価値を生み続けるものを保有する、という意味で使います。

新しい価値を生む商品

例えば、株式は保有することで成長した企業の利益の中から配当を受け取ることができます。

債権は、企業や国に貸したお金の見返りに利息を受け取ることができます。

不動産は、住居などとして貸し出すことにより家賃を徴収することができます。

これらの、保有することによってそれ自体収益を生み出すものが投資先として最優先のアセットクラスになります。理屈として考えても当たり前の話ですが、歴史的にみても長期的に安定して投資家に利益をもたらす商品たちです。

価値の保存に使う商品

次点として、インフレなどにより現金の価値が棄損されるリスクを軽減するために買うものとして、外貨、金、石油、仮想通貨などの商品があります。

現金というのはそれ自体が国の信用に基づいた商品なので、有事の際などには価値が不安定になりがちですが、金や石油には一定の実用性があるため、価値が大幅に減ることはないだろうという信頼があります。

また、仮想通貨は中央銀行が恣意的にお金を発行できてしまう(=通貨の価値を棄損する)リスクをなくすために、中央の仕事を世界中のPCに分散させ、暗号技術を用いて一定の額しか発行できない仕組みで通貨の希少性を担保しています。とても面白い試みです。

しかし、大事な点は、これらは価値の保存という機能においては優れた商品であるということはできますが、そこからのリターン(期待値)を期待して保有できる商品ではないということです。

競馬やパチンコはもちろん論外ですが、この観点からFXやバイナリーオプションといったものも投資家は手を出すべきではありません。単に勝つ人がいれば同じ数だけ負ける人が存在し、全体として手数料の分だけ快調に負けていくだけのサービスです。

僕がよく感じるのは、世の中の証券会社ではこれらの商品がなぜか同列のものとして扱われており、金融知識がない人がまともな投資商品にたどり着くまでの難易度が異様に高い世界に僕らは生きている、ということです。

資産運用は大切ですが、資産運用とはFXで適当に外貨を購入したり、バイナリーオプションで丁半博打をすることではありません。

各アセットクラスの推移(1802年~2003年)

上のグラフはシーゲル教授の本を読んでいる投資家にとってはおなじみのグラフですですが、このグラフは各アセットクラスの価値の推移を端的にあらわしています。

株式は200年もの間、中長期では常に上昇し続けました。

債権は1930年までは調子がよかったものの、現金のインフレがはじまってからの推移は思わしくありません。

金は優れた価値の保存機能をみせ、現金のインフレに抗う商品として活躍していますがそれ自体が収益を産んでいるものではありません。

ドル(現金)は1930年頃からのインフレの結果、紙クズのような価値になってしまいました。多くの人がもっとも安全であると考えるであろう、銀行預金は歴史をみると悲惨な結果を招いています。

これだけでも株式というのは他の商品よりも優秀であることがわかりますが、中でも米国の株式市場というのは、収益の安定性という意味で突出しています。

年間8.9%程度(インフレ調整後6.8%)の利回りを超長期に渡って維持しており、分散投資でアメリカの市場平均を買っておけば、長期ではまず負けないと言われています。(ウォーレン・バフェットも妻への遺言として、この投資方法を推奨しています。)

一方、債権も現金を保有するよりはだいぶ良い選択であることは歴史的にも明らかなので、安全を重視する人はボラティリティの低い債権をポートフォリオに組み込むことは考えられます。

しかし、シーゲル教授の分析によれば、保有期間が長期になるほど株式の利益が安定してくるため、債権の比率よりも株式の比率を大きくすることが推奨されています。

不動産に関しては、まず個別に自分で不動産投資をするには専門知識が必要です。

また、平均くらい儲けられたとして利回りはおよそ5%ほどと言われています。「21世紀の資本」のピケティ教授も、歴史的に土地の利回りというのは4~5%で推移してきたと語っていましたね。

今はIYRなどの不動産を対象にしたETFなども出回っており、お手軽な投資先として選択肢として取り入れられるようになってきました。とはいえ、値動きも激しく利回りも株式の平均よりも劣っているため、あくまでポートフォリオのアセットクラスを分散させてリスクを下げる目的で取り入れるべき商品、ということができるでしょう。

もしあなたに不動産投資の知識が豊富で、市場平均よりも高いパフォーマンスを出す自信があるのであれば、不動産に関してはそんなに悪くない選択かもしれません。

株式、債権、不動産などのまともな投資商品は、短期的に上下の変動はあれど、期待値において常に一定の速度でお金を増やしてくれます。

大事なのはタイミングより保有期間

これらの商品であれば、いつ買っていつ売るのがよいか?など余計なことを考える必要もあまりありません。長期で上昇するのがわかっているのなら、変な勘ぐりをせずに保有期間をなるべく長く取るのが得策です。

空港にある動く歩道、あれムービングウォークというらしいですが、長期投資というのはあれにのんびりと乗っているようなイメージです。確かに、横を全力ダッシュしている人とくらべて遅れているようにみえたり、時には故障したりすることがあるかもしれません。でも、故障するかもしれないからといってせっかくの動く歩道から降りたり乗ったり(短期売買)するのは愚策です。故障することを正確に予言できる人がいるのならばいいですが、そんな人は存在しません。僕たちにできるのは、歩道に乗ってる時間を1秒でも多く取り、前に進む確率を少しでも高めておく、くらいのことです。

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ABOUTこの記事をかいた人

30代元システムエンジニア。 日本では経営学、アメリカで経済学や統計学などのビジネスを専攻。 趣味は株式投資からゲーム、音楽まで幅広く。 リンクフリーです、ご自由にどうぞ。