最新のシーゲル教授の見解をお伝えします

米Yahoo financeのpodcastで、ノーベル賞経済学者、ロバート・シラーとこのブログでもおなじみジェレミー・シーゲルの対談が2日前の8/16日に放送されました。

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現在の相場にたいするお二人のご意見を拝聴すると、

ロバート・シラー

私は予言者ではないし、株式市場は必ずしも一定のサイクルで暴落するものではないが、前回の暴落から10年もの間ハイペースでの成長を遂げてきたアメリカ株市場はValuationは高めになっているため、注意が必要である。

ジェレミー・シーゲル

確かにValuationは高めではあるが、その基礎づけとしてFundamentalが堅調に推移しているため、今後の展開についても楽観的である。少なくとも我々は1999年に経験したことへの同意がある。過去のバブルへの反省心を持ちながら皆が取引をしている今と1999年とはまったく違ったムードである。

という感じで対照的なコメントとなりました。

ただし、2人の共通認識として語られていたのが、もっとも重要なのはグローバルな経済に目を向けることである、ということです。Valuationの低い国を探す努力をするのはもちろんのこと貿易や移民問題などにも触れていて、この辺りはトランプ大統領の政策も意識したものだったと思います。

いくら米株の平均リターンが優れているからといって、米国一辺倒の投資にすべきでないことをシーゲル教授が強調していることは、常々このサイトでもお伝えしている通りです。

対談を通じて、シーゲルとシラーはお互いに違う見解を持ちながらもリスペクトが感じられて、聞いていて楽しい放送でした。お二人はMITで出会ったようですが、偉大な人同士というのは自然に引き寄せられる運命にあるのでしょう。

このpodcastの最初のほうで、対談を通じてシーゲルからノーベル賞を取ったシラーへの競争心や嫉妬心は感じなかった?とMCの女性2人が冗談を言い合う場面がありました。シーゲル教授はヤフー・ファイナンスのビルのエレベータの構造が複雑すぎて、「ここのエレベータを理解するためにはノーベル賞を取ってないと無理だ」と笑わせたそうです。

さすが僕たちの大先生はユーモアにおいても市場平均をアウトパフォームしてますね。

 

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オススメ本の紹介

今回は、投資に関する本3冊と、それ以外の分野のオススメ本を2冊紹介します。

投資の本はいろいろ読みましたが、毎回取り上げているこの3冊がベストです。

 

米国株投資に興味を持ち、このサイトまでたどり着いてるみなさんにとっては、おそらく今更なラインナップですよね。でも、読んでいない方がもしいるなら、必ず読むことをオススメします。

この中で、1つだけ買うのであれば、シーゲル教授の株式投資 第4版(通称緑本)をオススメします。株式投資の未来(通称赤本)を勧める人も多いですが、緑本のほうがより株式投資の原理的な部分についてより詳しく触れられていると思います。いいから答えだけ教えろって方は赤本を買っても良いと思いますが、当サイトのポートフォリオはかなり赤本の影響を受けているので、参考にしていただければ幸いです。

ちなみに、僕は緑本の元となっている英語最新版、Stocks for the Long Runの第5版を購入しました。第4版からアップグレードされている内容などは、このサイトでも紹介していくつもりなのでお楽しみに。

ウォール街のランダム・ウォーカーは、インデックス投資がアクティブ投資に勝る様々な裏付けが書かれているのと同時に、現代ポートフォリオ理論やα、βなどの概念の説明まで網羅されており、かなり勉強になりました。この本も、当サイトの重要な理論的支柱となっています。一部資金をつかって勘で取引をしたときにたまたま勝って、自分って短期トレードの才能があるかも?なんて思っちゃったときに謙虚に読み返す本としてもオススメできます。

 

投資本以外でも、普段僕が読んでいる本からオススメを紹介します。

米国の社会心理学者、ジョナサンハイトの翻訳本、「社会はなぜ左と右にわかれるのか」です。ここ数年で読んだ中では、一番興味を惹かれました。

著者の体験や思考の過程などを丁寧に記述し、後半の真理に肉薄していく展開は科学ミステリーとして分類することもできます。論理展開を追ってるだけでも楽しいタイプの本です。

ジョナサンハイトは、その結論として、6つの価値観を表した変数を用いて僕たちの世界でよくある対立──リベラルと保守の争いについて説明してくれます。一般に理性的であるとされるリベラル陣営ですが、氏の主張によるとリベラルにはいくつかの価値観が欠落しており、バランスがいいのはむしろ保守陣営であるとしています。著者も元々リベラルであったため、自省的な振り返りと共に記述されており、僕もリベラル寄りの考えを持っているので頷ける部分が多いです。<象と乗り手>、<チンパンジーとミツバチ>などのメタファーも豊富で、読みやすく書かれていると思います。

メタ認知に関わる本を読んで自分自信の理解レベルをあげておくことは、株式投資でも役に立つことがあります。長期投資というのは、一度投資してしまえば作業としては終わりですが、あとはメンタルとの戦いです。自分にはどのような認知バイアスが働いていて、現実世界とどのようなズレがあるのかを知っておくと、それが今後の直感にも影響を与えます。

せっかくなのでもう一冊。

有名なので知ってる方も多いかと思いますが、進化生物学者のジャレド・ダイヤモンドによる「銃・病原菌・鉄」です。

歴史的には、ユーラシア大陸で文明が芽生え、ヨーロッパで文化が花開き、アフリカなどはヨーロッパ人に征服されてしまいました。これはヨーロッパ人が優秀で、アフリカ人は人種的に劣っていたせいなのでしょうか?

このような偏見にさらされていた人々の歴史観を一気に変えてしまったのがこの本です。地球がこのような歴史を歩んできた理由は、人種の優劣ではなく、地理的な要因、特にタイトルになっている「銃・病原菌・鉄」が重要なファクターだったとしています。

僕もまだ下巻を読んでいる最中ですが、上巻だけでも一定の理解を得ることができるし、歴史的な必然性追うことができて面白いです。小さい頃に受けた歴史の授業って、年号や言葉を覚えることがテストの点数を取るために重要でしたけど、なぜそのような歴史になったのかを考えることでより本質的な何かを学ぶことができます。

もし気に入った本があれば、リンクからご購入いただけるとうれしいです。これからもより良い記事を提供できる投資サイトを目指していきますので、ご協力よろしくお願い致します。

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現行NISA VS つみたてNISA

来年からつみたてNISAがはじまります。

現行NISAとはさまざまな点で異なっていますが、どちらかしか選べないため、双方をよく比較した上でメリットの大きいほうを選ぶ必要があります。

制度の説明は他のサイトさんにお任せするとして、当サイトでは僕たちはどちらを選択したほうがいいのか考察していきます。

長期的にはつみたてNISAの枠は800万円に達して現行NISAの600万円を超えますが、それまでは現行NISAの枠のほうが圧倒的に大きいため、それまでに出た運用益や株価の伸長も計算にいれなければなりません。

この記事では、具体的な解を提示していきます。

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ハイリスク・ハイリターンの意味

外国語を学んでいると、僕らは無意識に日本語の単語を複数の意味で使い分けていることに気付かされることがあります。

例えば、「遊ぶ」という言葉を直訳すると英語では”play”になりますが、友達と町をぶらつくときは”hang out”といいます。日本語では一貫したイメージがあるものの、確かにオモチャで遊んだりするのと、友達と一緒に時間を過ごすという場面を想像してみると、明確にしていることが異なりますよね。

英文のメールで、「よろしくお願いします。」というニュアンスの内容を書きたいときなどにも、そのまま当てはまるような訳がないので、「自分が本当にここで伝えたいことは何なのか」まで意味的にブレークダウンして、それを英訳するという手続きを踏まなければならないことも多いです。僕たちは、無意識のうちに無数のメッセージを「よろしくお願いします。」に込めているのですね。

さて、投資の世界でも、遭遇率が高く、語義がブレがちな言葉として「リスク」、「リターン」という言葉があります。

読者の方々は、この2つの言葉の意味を説明できるでしょうか?

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最もNISA向けの米株銘柄とは?

ある銘柄がNISAに適しているというためには、2つの条件があります。

  1. 標準偏差(リスク)が低い

  2. 配当金が低く、株価自体の伸びが良い

それぞれ解説していきましょう。

まず1についてですが、NISAの隠れたデメリットとして、他の口座との損益通算ができない点があげらます。

他の口座で利益が出ていてNISA口座では損失が出てしまっている場合、損失分を通算して利益から控除できないため、トータルでは損をしているのに税金を払わなければならない、という可能性がありえるわけです。

これを避けるためには、株価の分散が低く、大きな損失がでにくいディフェンシブな銘柄が望ましいです。また、相当の自信がないかぎりは個別株もNGです。理由は、単に分散投資されているETFよりも分散が高く、損失が出る確率が高いからです。

次に2ですが、実は僕がNISAについて調べていた頃、Web上でも誤った記述を散見しました。

NISAは配当金も無税になるため、高配当ETFなどの採用を推奨している方もいますが、高配当ETFはNISAに向きません。

NISAの枠は毎年120万円までですが、1年目に投資した株が仮に150万円の時価に成長した(配当はなし)場合、このまま2年目はこの150万円の株をそのまま無税で運用することができます。一方、120万円の枠が140万円に成長し、10万円の配当が支払われた場合について考えてみると、利益分が最終的に無税になるのはどちらも一緒ですが、配当分だけ持ち越しができる枠が減っています。

小さい話にみえるかもしれませんが、これが5年複利で効いてくるので、NISA銘柄を考えるときは考慮すべき事項だと思います。

というわけで、1、2を総合的に考えた僕の結論としては、最もNISAに向いている銘柄はVHTです。次点では配当比率が少し上がりますが、VDCです。

この2銘柄はシーゲル教授の研究結果はもちろん、過去10年の推移でも継続して成果をあげている、鉄板のディフェンシブETFです。国際的な分散投資を重視したい方であれば、VTなども候補にあがるかと思いますが、VWOなどリスクが高めのETFはできるだけ避けるのが無難でしょう。

VBRなどの小型バリュー株もリターンは期待できますが、リスクの高さから推奨しません。

また、番外編としてレバレッジETFを運用するという考え方もあります。

低リスク銘柄という観点からは完全にはずれてしまいますが、レバレッジETFにはNISA枠を実質的に拡大できるというメリットが大きいため、考える価値があると思っています。

レバレッジETFを考えるという記事でも紹介したSPXLという商品であれば、NISAの対象銘柄にも選ばれており、ほとんどギャンブルにはなるものの期待値は大きいです。当ブログでの推薦銘柄はあくまでVHTとさせていただきますが、SPXLはNISA銘柄としても個人的にも注目している面白い商品です。レバレッジETFの記事では、レバレッジETFが長期投資に向かないというのが本当かどうか考察しているので、そちらも合わせて御覧ください。

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主要ETFの過去データを振り返る

米株式投資家のバイブルといえば、言わずと知れたシーゲル教授の「株式投資の未来」です。この本は2005年に出版されていますので、もう出版されてから10年以上が経過していることになります。

シーゲル教授の過去の分析結果の業績は偉大なものですが、これが未来に渡って永続するのかはわかりません。あらゆるアノマリーは、そのアノマリーの存在が知られるにつれ弱まっていく可能性があります。

いまとなっては「スマートベータ」としてもよく知られる通り、セクター毎に分散投資を実現するようなETFも増え、これらの中にもシーゲル教授の本の影響を受けているであろうものがたくさんあります。シーゲル派の投資家は、シーゲル流のポートフォリオを構築しつつも、過去の相場の偏りが現在も続いているのかを注視していく必要があります。

そこで、今年の1月に作成した「株式投資の未来」出版後のそれぞれのETFの分析結果をご紹介したいと思います。

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すばり、配当の高い株は得なのか?

高配当株というのは、株投資の中でも人気のカテゴリーで、ETFなどでもVYM、HDVなどの高配当株に投資したような商品をみることができます。

しかし、本当に高配当の株を買うことは投資家にとって得なのでしょうか?

この問いに答えるためには、まず株と配当の仕組みをよく理解し、その上でシーゲル教授の理論を参照する必要があります。

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情弱ホイホイと化した株主優待制度

多くの日本投資家がありがたがる、株主優待なるものがあります。

世界的にみても稀有な制度で、日本のガラパゴス文化の象徴と言えます。

「株主優待目的だから、最悪株が下がってもいいや。」

これ、あらゆる場所で聞かれる株初心者の自己弁護なのですが、二重に間違ってます。今日はこの自己弁護のどこが間違っているのか、明らかにしていきましょう。

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「買うタイミング」の嘘

◯◯の株は、いまが下がったばかりだから買い時!みたいな話が好きな、論理的な思考が苦手な人たち、よくいますよね。

長期投資家の僕たちは、このような言説を徹頭徹尾スルーしていきましょう。

そもそも、こういった思考をすること自体が、長期投資についての無知の現れです。

仮に株というものが、下がった直後は上がる傾向があり、下落を待ったほうが得をするとすれば、長期投資をすること自体が無意味です。この場合は、長期保有している株が上昇したときには株を一旦売って、また下落したときに買えばいいことになります。そういう人は、なぜ買うときにだけ安く買おうとして、一旦ポジションをとった後はホールドし続けるのでしょうか?長期投資と下落買い待ちは論理的に両立しない概念なのです。

投資家のセンチメントというのは面白いもので、1000ドルと1500ドルの儲けの差というのは軽視するくせに、0ドルと-500ドルの損失の差にはやたらと敏感になります。

絶対に損はしたくないので、「少し前に投資していたかもしれない自分」と比較して、得するタイミングで投資をすることによって、心の安寧を得ているわけです。笑

確かに、株価が下落したタイミングで買いポジションを取るようにすれば、「少し前に投資していたかもしれない自分」に比べて常勝できるので気分がいいかもしれません。でもこの人は、株価が下落するのを待っている間、「少し前に投資していたかもしれない自分」にずっと負けているのです。

長期投資は、以下のような前提に基づいています。

  • 株価は平均的に上昇する(歴史的に明らか)。

  • バイ&ホールド以上に「継続的に」成果をあげている戦略はそもそも存在しないので、株価の細かい動きを予想することは不可能である(ウォール街のランダム・ウォーカーを参照)。

そして、長期投資家の利益というのは、株の保有期間を伸ばせば伸ばすほど大きくなります。であれば、買うタイミングは常に「今すぐ」が論理的な解になるはずです。

とはいえ、株をはじめたばかりの初心者の方にとって、大金をいきなり全て株に変えるのは勇気のいることかもしれません。そういう方には、ドルコスト平均法などで徐々に株を買い増ししていく手法をオススメします。

また、買う直前のチャートを眺めて判断する意味はありませんが、例えば買う銘柄のPERが低いときに買う、というようなルールであれば一定の成果が見込まれます。歴史的にも、PERの低い株は高い株よりも利益をもたらす確率が高いからです。

ただし、PERが低くなるまでは現金として持っておいて、PERが下がったタイミングで購入に踏み切る、というような戦略は、単純なバイ&ホールドに負けます。株の保有期間を著しく下げるからです。購入する銘柄選びにPERは有効になり得ますが、下がるまでは現金で持ってる、というようなルールは無意味なのでやめましょう。

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必ず守らなければいけないこと

安全かつ効率のいい投資をするために、守らなければならない最小限のルールを列挙します。

  • 株式のみ、または株式中心のポートフォリオであること

  • 個別株への集中投資ではなく、分散投資であること

  • 長期保有前提の取引であり、短期売買などを行わないこと

正直、この3点さえ守れていれば及第点で、60点はつけられると思います。

シンプルに見えますが、世の中の大半の人はこれすらできていないのですから、これができるだけでもすでにリテラシー上位の方といえると思います。

次に、より合理的な取引を目指す方のためのルールです。

  • アメリカ株を中心とした国際的なポートフォリオであること

  • 自分のリスク許容度に応じて、資産の適切な割合を投資に回していること

  • より手数料の低いインデックスETFを中心に運用していること

  • NISAなどの法的なメリットを最大限利用していること

これらのことに気をつけていれば80点で、すでにほとんど文句ありません。

あとは、シーゲル教授の「株式投資の未来」や他の本を読んだり、自分で過去のデータを分析したりしてセクター毎、大型株小型株、バリュー株の特性への理解を深めていけば、より良いポートフォリオと近づくことと思いますが、経済合理的な発想からは、偏りはやがて平均へと回帰するはずです。

僕は実際にはヘルスケア株などはこれからも有望だと思っていますが、あくまでインデックス投資に軸足を置きながらこういったリターンの狙えそうなETFを購入していきましょう。

僕が推奨しているポートフォリオはこちらになります。

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