絶対読んでおきたい株式投資本!難易度別おすすめ書籍集




株式投資をはじめたばかり!という初心者の方から、すでに株式投資をはじめて基本的なことは知っているけどももっと深く投資について勉強したい!という方までを対象とした、おすすめ書籍を紹介する記事を書きたいと思います。

レベルは5段階に分かれており、

★☆☆☆☆ 初心者向け
★★☆☆☆ 初心者~中級者向け
★★★☆☆ 中級者向け
★★★★☆ 中級者~上級者向け
★★★★★ 上級者向け

となっています。

もちろん全て僕自身が所有している本(たぶん20冊くらいかな)から選んでおりますし、あまりオススメできないなというものは掲載してません。僕が新しく読んでいいなと思った本については後からアップデートする可能性もあります。

ただひとつ注意点として、上級者向けの本を読めば、初心者向けの本を読むよりも投資で必ずしも大きなリターンが狙えるわけではありません。

はっきりと言っておきますが、投資をするには★2つまでの本の内容を理解すれば十分ですし、それ以上の知識はあまり必要ありません。

株式投資は、あなたが最低限の知識をつけた後の限界効用(あなたが勉強する毎に増える投資のリターン)はとても小さいのがひとつの特徴です。

それにもかかわらず、ここでいろいろな本を紹介しているのは、わざわざこんな辺境のブログサイトを読みに来るあなたはきっと、知的好奇心旺盛な方だろうと予想しているからです。笑

仮にそれがあなたの投資リターンには必ずしも結びつかなかったとしても、市場で何が起こっているのか、株式投資の他にもデリバティブとはどういう仕組みなのかなどをより深く知ることで充足を得たいという人はいるでしょう。

ただし繰り返しますが、投資の知識としての有用度としては、★2つまでの本を圧倒的にオススメします。

このことを意識した上で読んでいただければと思います。

★☆☆☆☆ 初心者向け投資書籍

ここでは初心者向けの投資書籍を紹介します。

基本的な投資の知識を網羅しつつも、少し難しい理論や細かい数値データについては省かれているものが多いです。

インデックス投資は勝者のゲーム 株式市場から利益を得る常識的方法 / ジョン・C・ボーグル

アメリカの巨大投資顧問会社、バンガードの創始者であるボーグルによるインデックス投資の解説書です。

これと対をなすタイトルの本として、チャールズ・エリスによる「敗者のゲーム」があるので一緒に紹介しましょう。

敗者のゲーム〈原著第6版〉/ チャールズ・エリス

ボーグルの「インデックス投資は勝者のゲーム」、エリスの「敗者のゲーム」は面白いことに、同じインデックス投資について書いているにも関わらず、タイトルが真逆になっています。

書いてある内容自体は、アクティブ投資に対するインデックス投資の優越をしっかりとデータを用いて説明しているなど似ていると言えるのですが、タイトルの違いが両氏のインデックス投資に対するスタイルの違いとして表れていて面白いななんて思ったりしますね。

エリスがインデックス投資を敗者のゲームと呼んでいるのは、「素人の投資家がプロの集団にたいして挑むようなことをしても勝てるわけないんだから、負けない投資法(敗者のゲーム)をしなさい。それにはインデックス投資が最適である。」というニュアンスです。

確かに、僕たちはプロの将棋指し相手に将棋をしても勝てるだなんて思わないのに、投資になると「もしかして勝てるんじゃないか」など淡い希望を持ってしまいがちではあります。これを嗜めるために、エリスはこのような表現を使っているのですね。

一方、ボーグルのスタンスは全く異なります。ボーグルはむしろ、「プロを含めて、インデックス投資にコンスタントに勝てるようなやつはほとんどいない。インデックス投資こそが勝者のゲームなのだ。」というようなニュアンスで書いています。

僕の意見はよりボーグルに近いです。

なぜなら、両書にも書いてあるとおりですが、「プロ」の運用成績というのははっきりいって大したことありません。

今年の前半も、アメリカのヘッジファンドの平均リターンはマイナスで酷いことになっているというニュースを最近目にしましたが、データ上でみるとほとんどのアクティブファンドの成績はインデックスファンドに劣っていますし、アクティブファンドがやっていることは勝者のゲームでもなんでもないというのが僕の感覚です。

まあ、このあたりの話もたくさん書いてありますので、ぜひぜひこの両書を読んでみてください。

難しい用語はほとんどでてこないので、入門書としてはぴったりだと思います。

★★☆☆☆ 初心者~中級者向け投資書籍

これから投資をはじめるという方でも、経済や金融の用語がある程度わかる方であれば十分読めるレベルの本をここに分類しています。

このレベルの本は、基本的な株式投資の考え方の他にも、基本的な金融理論について触れられているものも多く、株式投資を体系的に理解するための本として必読です。

株式投資 第4版 / ジェレミー・シーゲル

このブログのサブタイトルにもなっている、シーゲル教授の名著です。

この本には、あらゆる本やブログで引用されているアメリカ株式、債券、金、現金の価値が200年間どうなってきたのかを描いた美しいグラフが載っていて、僕もそれがきっかけで株式投資をはじめました。

そのグラフの他にも、ここ100年の国別株式リターン表などにも目を通すことでシーゲル教授が「永遠のブル」と呼ばれるまでに株式にたいして強気な理由が十分に理解できることでしょう。

またこの本のいいところとして、株式投資というものがその歴史などを踏まえて総論的に語られているので、広い視野で株式投資について考えるための教科書としても優れているといえます。

僕が、友人におすすめの株式投資書籍を一冊紹介してほしいといわれたらこの本をあげると思いますね。

シーゲル教授は「株式投資の未来」という本(通称赤本)も出版していますが、個人的にはこちらの緑本をよりオススメしておきます。

ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理 / バートン・マルキール

株式投資の教科書としておすすめな書籍、その2です。あまりに有名な本ですけども。

タイトルからもわかると思いますが、著者のマルキールはインデックス投資家の理論的支柱ともいえる存在で、アクティブ投資家やファンドへの辛辣な物言いもこの本の見どころだったりします。笑

こちらも株式投資を体系的に学べる書籍としてはとてもよく書かれていて、特に基本的な金融理論についてはシーゲルの緑本よりも詳しく記述されてますし、どちらかというと理論派の人におすすめできる本でしょうか。

株式投資の世界には、あらゆるうまい話による誘惑が溢れていますが、この本棚に飾っておくことで自分を定期的に諌めるのにも使えます。

中には市場は完全に効率的ではないし、マルキールの記述はフェアではないなんて言う人もいますが、マルキールは市場が完全に効率的であるなんて主張はしていませんし、効率的市場仮説をわざわざ3つのレベルに分類しているところからもある程度誠実にかかれている本ではないかと思っています。

★★★☆☆ 中級者向け投資書籍

投資の基本はわかったので、もっと幅広く金融知識をつけたいというあなたへ。

ファイナンス理論全史――儲けの法則と相場の本質 / 田渕 直也

この本はだいぶオススメです。

アカデミズムとウォール街の実務家の対立の歴史をなぞることで、金融の一通りの知識を学ぶことができます。

ある程度の知識がある方にも、復習がてら読みながら思考を整理することができる良い本です。

この内容をこのページ数でよくまとめたなぁと思いましたね、日本の本も捨てたものではないですなぁ。

ウォール街のモメンタムウォーカー / ゲイリー・アントナッチ

将来の株価を予測するには過去1年の株価の上昇率(モメンタム)を指標とするのが有効であるとする、モメンタム投資についてメインに触れた本です。

モメンタムの話だけではなく、総論的にその他の投資法や歴史的な推移にも触れられていたり、また参照している論文の検索方法なども載っているところに好感が持てます。

無印のものと個別銘柄編がありますが、僕はどちらも楽しく読みました。

無印はGEMというシンプルな投資戦略が紹介されており、個別株編では様々なルックバック期間におけるより細かいモメンタムの特性について解説がされ、具体的に取捨選択する方法について学ぶことができます。

モメンタムも有名なアノマリーとなってしまった以上、持続性についてははっきりとしたことは言えませんが、過去に存在した根拠としてはなかなか強固なエビデンスが揃っていますし、知識として知っておくのもいいのではないでしょうか。

ウォール街で勝つ法則 - 株式投資で最高の収益を上げるために / ジェームズ・P・オショーネシー

ひたすらデータ、データ、データのいい本です。

人と議論をするときには、まずはお互いが共有している前提となるデータを確認しないといけません。

少しデータが古い(1996年まで)のが欠点ではありますが、同じ期間をいろいろな戦略で運用した場合のリターンやシャープレシオなどが細かく載っており、過去の相場がどのようなものであったのかを具体的に学ぶことができます。

超小型株については流動性にも問題があるし、大金を運用するのは現実的でないとしてデータから省かれている点なども好感が持てました。

投資界ではなぜかポエムが流行る傾向にありますが、こうしたデータに基づいて語ることのできる人が増えると個人的には嬉しいです。

★★★★☆ 中級者~上級者向け書籍

懸命なる投資家 / ベンジャミン・グレアム

株式投資本の古典とでも言うべき有名な本ですね。

著者のグレアムはバリュー投資の父とも呼ばれる存在で、あのウォーレン・バフェットの師匠でもあります。

本の中身は株をバリューでスクリーニングする方法が書いてあるのかと思いきや、実はそうでもなく債券についての解説などが実は多くを占めていたりもします。

古い本なので、データ量としては乏しく帰納的な説明というよりも、財務の演繹的な理論について触れられている点が多いのが特徴でしょうか。

わかりやすくどうやってスクリーニングすれば勝てる!みたいな本ではないので、読み切るにはそこそこ知識と集中力が求められるのではないかと思います。

新・懸命なる投資家という上下巻の本もあるようですが、僕はそちらは未読です。

バフェットからの手紙 / ローレンス・A・カニンガム

グレアムの次はやはりバフェットでしょう。

バークシャのバフェットが株主に宛てた手紙の内容が36年分も紹介された本です。

バフェットといえばバリュー投資でお馴染みですが、彼は一般的なPERなどのスクリーニングのみで企業を選んでいるのではなく、例えば経営者の質、リーダーシップの有無を重視している点など、定性的な評価も行っていることがわかります。

投資家としての力量が評価されるバフェットですが、実は彼が優れた経営者であり、コーポレート・ガバナンスというものがなんであるのかがよくわかる本なので、投資家というよりも経営者向けの本かもしれません。

株式より有利な科学的トレード法 / KAPPA

東大卒医師のKAPPAさんという方が書かれたオプション取引の入門本です。

入門本とはいえ、オプション取引自体が複雑な金融商品なので、投資初心者向けではありませんが、その中でもわかりやすく書かれていると思います。

僕もまだ後半の具体的な戦略については理解が浅く、本当に株式よりも有利なのかがいまいちわかっていないのですが、税制の不利なども跳ね返すほどに有利な手法であるのか、まだ検討している途中です。

それにしても、筆者の方の豊かな知識量が伝わってくる良い本でした。

日本人にもこういう人がいるんですねぇ。

ROKOHOUSEでよくコメントをくれるDocさんは同じKAPPAさんが書かれた超株式投資という本のほうをオススメしてましたが僕はそちらは未読です。

★★★★★ 上級者向け書籍

金融工学入門 第2版 / デービッド・G.ルーエンバーガー

数式などもたくさんでてくる、真面目に金融工学を勉強したい人が読む本。

僕もまだそれほど読み進められていないのであまり偉そうなことはかけないのですが、上級者向けであるとはいえ、解説自体はわかりやすいと思います。

ただ、学問書なので分厚くてなかなか持ち歩けなかったり、読み切るだけの気力が求められるというのはありますね。

そういったことも考慮して難易度は最高レベルの★5としています。

当サイトでも部分的に紹介しているポートフォリオ理論はもちろん、金利理論、先物やスワップ、オプションなどの仕組みもしっかりと学ぶことができます。

どちらかというと、プロを目指す学生さんなどにオススメしたい本でしょうか。

ファイナンスの専門の方も、標準的な参考書として挙げていたので良質な本であることは間違いないと思います。

おわりに

読書は費用対効果の高い投資のひとつです。

ここに載せた本であれば、まず無駄にはならない知識が得られますので、気になる本があればぜひ読んでみてください。

読書のコツとして、もしどうしても前から読み進めることができないようであれば、好きなページだけをパラパラと読んでいくパラパラ読みでもいいと思います。

僕もたまにやりますが、それを繰り返してるうちに不思議とほとんどのページを網羅していたりするものです。笑

個人投資家のみなさんには、難易度★★~★★★くらいの本を特にオススメしたいですね。

もし何か他にもオススメの本ができたら随時追加していきますので、もしROKOHOUSE読者の方が推薦する本などがあればコメントに書いていただけると嬉しいです!

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7 件のコメント

  • 株式会社投資第四版を読んでroko houseの記事の内容やhiroさんのツイートがより理解できるようになりました。

    • ミスターアメリカさん

      ご紹介ありがとうございます。
      トニーロビンズ本は、例のレイ・ダリオのオールウェザーが載ってるやつだけ読みましたがそちらは未読でした。
      時間があれば読んでみたい本としてリストにいれておきます。

  • 私も緑本は熟読してロコハウスさんのシーゲル流ポートフォリオを組んでいます。赤本も興味ありますがなぜロコハウスさんは緑を推しているのでしょか?

    • シーゲル太郎さん

      株式投資の原理原則を理解するための教科書的な本としては緑本のほうが圧倒的に優れているからです。
      赤本はアノマリーを主に紹介した本で読む価値はあると思いますが、株式投資において本当に大事なのはどの株を選ぶかというよりも長期で分散投資を心がけることなので、その原則を理解するためには緑本を推奨したいと思います。

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