配当って受け取っても1円も得してないからね?




去年も配当ってなにか勘違いしている人が多いよねって記事を書いた気がしますけど、Twitterなどでも勘違いしてる人が後を絶たないのでまた書いてみます。

初心者の人には特に聞いて欲しいお話ですね。

よくブロガーさんでも配当を受け取って喜んで記事にしてる人などもいますが、

配当って受け取っても1円も得してないからね?

配当金を受け取るということはどういうことか?

株の話からはじめると、難しいと思われる方もいらっしゃると思うので、例え話をしましょう。

「1年後に1万円、2年後に1万円、3年後に1万円もらえるチケット」なるものがあったとします。

1年おきに1万円もらえるので合計では3万円もらえることになりますね。

あなたはこのチケット、いくらでなら買いたいと思いますか?

3万円ならトントンですが、数年間お金を使えなくなる機会損失が生まれる割にこれだと1円も得しません。

まあでも議論をややこしくしないために3万円で買ったことにしましょうか。現在価値を考えなければプラスマイナスゼロの取引ですね。

さて1年後、1万円を受領しました。あなたは1万円得したでしょうか?

してませんよね?

だって、その1万円をもらうためのお金はすでに払っているのですから。

残ったチケットの価値は2万円分しか残ってないので、現金1万円+チケット2万円であなたの3万円の資産は変わっていません。

配当金を受け取るというのはこういうことです。

僕たちが最初に株を買うのに払った値段には未来の配当金が織り込まれています。

企業が配当を出す時は、僕たちがオーナーである企業のお金から払い出すわけですから配当を貰った分だけ株価が下落します(権利落ち)。

だから、配当を受け取るというのはなんというか、預けておいたお金を引き出すようなもんなんですよ。

あなたはATMに行って、お金を引き出したときに「やった!得した!」って喜びますか?

喜びませんよね?

そのことをブログにもわざわざ書いたりしませんよね?

そもそも、もし配当に伴う株価の下落がないとするなら、配当直前の企業の株を買って、配当をもらったら売るのを繰り返せばすぐにお金持ちになれるじゃないですか。

つまりですね、

配当をいくらもらったかというのと、あなたがその株から利益を得たかというのは無関係です。

巷のトンデモ理論①NISA口座編

NISA口座にどんな株をいれるのが良いか?

というような議論でも、高配当株が推奨されることがあります。

ですが、高配当株はどう考えてもNISA口座に向きません。

高配当株をNISA口座にいれるのが良いんだと主張する人の言い分によれば、

「キャピタルゲインはあるかわからないが、インカムゲイン分は少なくとも無税にできるから」

ということらしいんですが、先ほどの議論を踏まえた皆さんにはもうおわかりですよね。

配当が出たからといってそれが利益になっているわけではありません(株価がその分落ちているから)。

それに加えて、インカムゲインは10%の外国税を取られてNISA口座では外国勢控除も使えずに取り戻せないことや、NISA口座はできるだけ配当が払われずに株の評価額が増えたほうが翌年の投資枠が増えて有利なことを考えればできるだけ配当の少ない株やETFを選ぶべきであるはずです。

巷のトンデモ理論②長期金利編

あとよく聞く話として、「長期金利が上がって高配当株の配当利回りに近づくと高配当株よりも債券が選好されるため高配当株は不利になる」というような話もあります。

でもこれも怪しい話だと思いませんか?

だって、高配当株を持ったときの期待利回りと配当利回りは無関係ですから。

仮に高配当株の期待利回りが7%、配当利回りが5%だとしたら配当利回りのほうを参照して投資判断を行う意味はどこにあるんでしょうか。

配当利回り5%の株は、少なくとも5%の利回りは約束されているというわけでもありません。

5%もらった瞬間に株価が5%落ちるからです。

ただし、長期金利が上がる局面というのは要するにインフレを警戒しているわけですから、そのような局面で設備投資よりも株主還元を選ぶような成熟企業が不利になるというのはわかります。

一般的にインフレ時は借金をして投資に回したほうが返済してしまうよりも有利になるというのは正しいですからね。

だから一般論としての傾向として、金利上昇局面では高配当株はあまりよいリターンをあげないというのはありえるとしても、その説明がズレてるのではというのが僕の意見です。

むしろ損をする

というわけで、配当を貰うということは別に得をしてないという話をしてきましたが、実は損をしています。

なぜかというと、配当金に対しては10%の外国税を余計に払わなければならない(確定申告で取り戻せるが)ことと、利益が出ている場合は税金を払わなければならないからです。

キャピタルゲインにももちろん税金はかかりますけども、最後の利確時にかかるためにずっと株をホールドしていれば税金の支払いを先送りにすることができます。

税金を後払いにすればするほど、払うべき税金を運用して複利の力を得ることができますから有利になるわけです。

さて、最後になりますが上記のことを踏まえた上で、高配当株戦略は実は市場平均を大きくアウトパフォームしてきたというのがシーゲル先生や他の研究者たちによる研究結果なのでした。

だから高配当株戦略を取ることが別に悪い判断でもなんでもないのですが、前述したような配当の常識をまずは抑えておくことをおすすめします。

すばり、配当の高い株は得なのか?

2017.08.04
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21 件のコメント

  • 今回はアクセス数が稼げそうな記事にしましたね 笑
    恐らく個人投資家の中でもこういった配当や税金のリテラシーがある人は少数派なのでしょうね。
    シーゲル先生らは高配当戦略に対して様々な理論的裏付けをされていますが、いち素人の邪推としては、「これまでは単に高配当株に飛びつく人が多かった。そして、そういった人が多数いる事を見越した上で、本来の期待値以上に株価が押し上げられる可能性を見出した人(バフェット太郎氏のようなタイプ)もそれに乗っかった。それで市場をアウトパフォームしていただけじゃないかな。」と思っています。
    全く根拠はありません 笑
    以下も妄想が続きますが、今後はAIによって投資環境が急速に変化し、リテラシーの低い個人投資家でも合理的な投資を行う事が当たり前になる時代が来るのではないかと思っています。金利・為替などはchaos systemのためにAIでどうこうするのはまだ困難でしょうが、税制・配当はrigidなので、高配当株はAIからは投資対象として回避されやすいのではないかと思っています。
    その結果、高配当戦略自体が市場を大幅にアンダーパフォームすることになって、最終的にはGE坊や氏の予言が的中することになります 笑
    個人的には配当・株主優待は非合理的だと考えていますが、そのおかげでhypothesis-generatingでもあるから、まぁ良いんじゃないかな、くらいのスタンスです。

    • Docさん

      お久しぶりです!
      PVを狙って書いたのバレましたか。笑
      先日久しぶりにブログ村ランキングをみてみたら10位以内に入ってたので、サイドバーも整理したことだしキャッチーな客寄せパンダ的記事欲しいなーと思って書いてみました。
      なんか、去年はこんな記事をよく書いてたなーみたいな気分で、懐かしい気持ちになりましたね。笑

      高配当がアウトパフォームをしてきた件は、事業の投資額が膨らんでくると投資額あたりの効率が落ちるというミクロ経済的な概念を導入すると理解しやすいかなとは思ってます(つまり配当再投資は効率の良い部分の事業投資にレバレッジをかけて投資をするようなイメージ)が、まあ実際のところはわかりませんね。
      バリュー投資のひとつのパターンとして捉える人もいるようですし、未来においても永続するアノマリーなのかはなんとも言えないと思います。
      まあ少なくとも、高配当投資をしているからといって無批判に褒めちぎるとか、絶対にうまくいかないとか批判してみせるとか、そういう立場からは少し距離を置いておきたいなという感じでしょうか。
      やってみる価値はあるのではないかなーとは思いますが、やはり高配当一辺倒ではなく、いくつかの戦略に分散する(または単にインデックス投資をする)のが望ましい気がしてますね。

      AIが市場に与える影響は興味深いですね。単に過去のチャートや財務的な定量的データに基づいて売買するシステム、あるいはWEB上の定性的情報をたくさん吸収して抽象的な判断を行うアルゴリズムなど様々なものがでてくるかと思いますが、そういうものを想定するならやはりインデックスにしておくのが無難なのでは、くらいですかねぇ。。笑

  • 最終段落で
    ”税金を先払いにすればするほど、払うべき税金を運用して複利の力を得ることができますから有利になるわけです。”
    とありますが、税金を後払いと打ち間違えているのではないでしょうか。
    ご確認よろしくお願いいたします。

    • Terryさん

      ご指摘ありがとうございます。
      「先送り」と同じような意味で「先払い」と書いたつもりでいたようですが、明らかにわかりにくいのでよくない表現でした。
      修正しておきました。

  • 株主優待もその会社のサービスを多くの人に体験してもらうために実施するのが本筋であって、株主優待にQUOカード配ってる会社は買ってはいけない、ということですね。

    • そうですね、PR活動の一貫というように捉えるのが妥当だと思いますが、現実では単にクロス売りでほとんどノーリスクで優待を取得してネットなどで売却してお金を稼ぐなどの手口に使われまくっていますので、もうさっさとやめたほうがいいのではとしか僕は思いませんね。笑

  • ご返信ありがとうございます。
    キャッチーなネタをきっちり理屈で詰めていく文章はさすがです。

    高配当戦略は自分は採用しませんが、ポートフォリオの一部に組み込んだり、いっそのことVYMや楽天VYMで全力投資するのも正解の一つだと思っています。

    将来的なAI関連で懸念しているのは、hiroakit氏の”レバレッジETFへの疑念”のような事が案外早く生じてしまうのでは?というところです。似たような懸念は以前にもバフェット太郎氏が、市場参加者のほとんどが最適解を選択してしまったらどうなるのか(みたいな内容だった気が…)、といった内容で投稿されていました(たぶん…)。

    どうしても得意分野と結びつけてしまうのですが、人体と同様で経済はカオス過ぎて完全な予測は不可能だと思っています。リスク許容度の中で人生や投資を自由に楽しむのが一番かと。言うは易しですが。

    モメンタムに関しての投稿も楽しみにしています 笑

    • Docさん

      そのような比較的マイナーな記事まで読んでいただいてありがとうございます。笑
      昔、福岡伸一さんの「生物と無生物のあいだ」を読んで、人間の体は不可逆的な時間をたっぷりと織り込んで形成された平衡状態によって成り立っているため、どこかが壊れたらそこを入れ替えればよいというような機械的な生命観は適切ではないというような話に感動したことを思い出しました。
      でも僕たち人間には巨大な経済活動の極一部の地表しかみえていないという感覚がありますが、それがAIとなってくると情報処理速度も全く違うし、自動取引によって何か再帰的にレバレッジがかかって市場のボラティリティがあがりまくるとかならないんかな、大丈夫なのかなと漠然とした不安はありますよねやっぱり。
      モメンタムはとりあえずのバックテストにて思ったよりも良い結果を得ることができず、とりあえず記事としては保留しています。笑
      また気が向いたら書いてみますのでよろしくです。

  • ただし企業の利益は経営者の意見であって事実でないことにはどう思いますか?例えば粉飾決算は論外ですが固定資産の償却を長く見積もっていたり、して費用を圧縮しているなどです。つまりフィクションの利益で算定された株価よりもリアルな配当金をもらったほうが良いという意見もあります。私もそう思います。リアルなキャッシュを稼げているという意味で高配当戦略は支持されていると考えます。

    • とりあえずこの記事は配当戦略などを否定しているのではなく、配当を受け取った時にその人は1円も得してないよね、という当たり前の事実の話をしています。
      僕は配当戦略を悪いと言っているのではなく、配当戦略を取る人って単に勘違いしていることが多くリテラシーの低い人が多いよね、くらいの印象を持っています。

  • こんにちは。私事ですが
    ここ数年、武田薬品を保有していてかなりの含み益になって
    いたのですが、最近の大型買収案件のせいで含み益がゼロになり
    売却しました。売却益はほぼゼロです。
    しかし、この間に配当を毎年3%程度もらえていたので、トータルでは
    プラスになりました。利食い千人力と昔から言いますし利益の先食いには
    こういう効果もありますよ、とのご報告でございます。
    宜しくお願いします。

    • ロシュさん

      それも勘違いの典型例といえそうですが、それは配当金を受けとっていたからトータルでプラスだったのではなく、単にその企業のトータルリターンがプラスだっただけの話です。
      もし武田薬品が配当金をまったく出していなかったとしたら、その分の株価の下落もなかったことになりますので売却益のほうでプラスが出ていたことになります。
      もし利食いを定期的にしておいたほうがいいという主張であれば配当金と関係なく適切な量の利食いをしておけばいいのではと思いますが、利食いをすればより平均的により儲かるというような事実はそもそもありませんし、将来株価が下落するのならば売っておいたほうが得だよねという当たり前の話をしているだけのように感じます。

  • hiroakit様

    ご丁寧なご返信ありがとうございました。
    仰る通りですね。
    株は買うのは簡単ですが、売るのは難しいですよね。
    いつ利食いするか判断に迷います。
    今後とも勉強させて頂きます。

  • 自社株買いの場合はどのような理屈になりますか?

    配当の場合、企業のお金が払いだされ、権利落ちで株価が下落します。
    自社株買いの場合、買った分だけEPSなどは底上げされます。

    まぁ、買うときのPBRによるという結論になるのかもしれませんが。

    よろしくお願い致します。

    • 匿名さん

      面白い質問ありがとうございます。
      僕は経済学や会計学などを一通り勉強してきてはいますが、会計の専門家ではありませんのであくまで僕の意見ということで書いておきますね。

      結論からいうと、理屈上は自社株買いもそれ自体が株価を上昇させるということはないはずだと思っています。
      例えば自社株買いに使ったお金を設備投資に使った場合と比較して考えてみましょう。
      自社株買いを行うということは発行済株式数を減少させて未来の一株あたりの配当金を底上げする、つまり配当の先送りだと言うことができると思いますが、その分設備投資によって生まれるはずだった未来のお金も減少します。
      つまり企業が合理的にお金を使っているであろう未来と比較した場合には分母の発行済株式数は減少するが分子の配当金も減少するため、結果として一株あたり株価(DPS)は変わらないだろうということです。
      ただし、企業が余った内部留保を無駄に使ってしまうようなことを防止できるという観点から、株主還元をする企業のリターンは優秀だったという過去のデータがあるという意味では配当の支払いと同列であり、また配当に伴う税金を支払わなくて済む分税制的なメリットがあるというのが僕の基本的な理解です。

      ただし、配当金にも言えることですが企業が増配や自社株買いを発表するということは、順調に利益をあげて成長を続けているということのアナウンスでもありますので、株価と増配や自社株買いに正の相関のようなものはあってもおかしくはないと思います。相関と因果関係は別だということですね。
      参考になれば幸いです。

  • hiroakit様

    早速のご回答ありがとうございます。
    設備投資など有効な使い道があるのなら、
    自社株買いも配当も控えてもらった方が理論的には良いという事ですね。

    >相関と因果関係は別
    この言葉、非常に納得できました。
    利益が成長しているから、株価が上がり、
    1株当たりの還元額も上昇していると言えますね。
    還元自体で企業価値を高める訳ではない。
    あくまでも事業の成長。

    非常に勉強になりました。
    ありがとうございました。
    記事、いつも楽しみにしてます。
    これからもよろしくお願いします。

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