バンガード VDEとは
MSCI USインベスタブル・マーケット・エネルギー25/50インデックスのパフォーマンスへの連動を目指した、米国エネルギー株に分散投資するのに最適なETFです。
低コストでインデックスへの追従を実現した、パッシブ投資向けのETFです。
保有上位銘柄
Exxon Mobil(22.8%)、Chevron(14.2%)、Schlumberger(6.6%)、ConocoPhillips(3.9%)、EOG Resources(3.7%)と続きます。なんと1位のエクソンモービル、2位のシェブロンで全体の37%を占めています。構成株式銘柄数は134銘柄にのぼります。ほとんどすべての会社が、石油関連の会社ですね。
経費率
経費率は0.10%です。バンガードのセクター別ETFの中では少しだけ高めの設定のような気もしますが、まったく問題にならない水準です。
シーゲル教授の研究成果
エネルギーセクターの市場シェアは過去50年で大きく下がりましたが、リターンでは上位に入っています。
このあたりはシーゲル教授のいう、市場シェアが拡大しているからといってリターンが良いとは限らない、逆もまた然りというところです。
各セクターの市場シェアの変化とリターン(1957年~2003年)
| セクター | 市場シェアの
拡大(縮小) |
実質セクター
リターン |
|---|---|---|
| 金融 | 19.87% | 10.58% |
| 情報技術 | 14.71% | 11.39% |
| ヘルスケア | 12.14% | 14.19% |
| 一般消費財 | -3.28% | 11.09% |
| 生活必需品 | 5.23% | 13.36% |
| 資本財 | -1.13% | 10.22% |
| エネルギー | -15.68% | 11.32% |
| 電気通信 | -4.00% | 9.63% |
| 素材 | -23.06% | 8.18% |
| 公共事業 | -4.81% | 9.52% |
| S&P500 | 0% | 10.85% |
出所:株式投資の未来 著ジェレミー・シーゲル
シーゲル教授による推奨ポートフォリオでも、情報技術セクターを差し置いて、エネルギーセクターは言及されています。
連続増配33年を達成している超巨大企業のエクソンモービルをはじめ、構成比2位のシェブロンなどは個別株投資をしているシーゲル派にも人気です。
エクソンモービルの配当はすでに3.85%に達しており、配当を重視する戦略をとっている投資家は誰しも注目をしているのではないでしょうか。
市場平均との比較
VDEの設定日は2004/9/23です。バンガードの資料では、設定来からのトータルリターン(年)は6.52%となっています。
さっそくS&Pのトータルリターンとくらべてみましょう。
| 3年 | 5年 | 10年 | |
|---|---|---|---|
| VDE | -6.72% | 0.11% | 0.53% |
| S&P500TR | 11.38% | 14.19% | 7.36% |
ここ10年のトータルリターンをみると、大幅に市場平均をアンダーパフォームしています。
過去のVDEのチャート推移は、原油価格との相関性が高くなっており、2008年のリーマンショック、2014年の原油価格の暴落により低迷を続けています。
リーマンショック時の最大下落幅(リーマンショック前日の2008/9/14から起算)はS&P500がおよそ-46%だったのに対して、VGTは-38%程度でした。
当サイトのVDE評価
総合評価
| 期待リターン | ★★★★☆ |
|---|---|
| リスクの低さ | ★★☆☆☆ |
| 経費コスト | ★★★★☆ |
| 将来予測 | ★★★☆☆ |
| おすすめ度 | ★★★☆☆ |
評価理由
VDEは、歴史的に高いリターンの期待できるETFですが、当サイトのポートフォリオでは採用していません。
VDEはここ10年間のリターンがほとんど0となっており、低迷を続けています。
これは原油価格の下落が主な原因となっていますが、原油には一定の実益性がある以上、いまの値段が底だと見るのであればむしろ原油株は今が買いであるということもできるでしょう。
過去の記事でも紹介したように、シェールオイルの採掘も低コストで掘れる場所は減ってきているということで、これからは原油価格の回復を見通す声もあります。
しかし、僕がこのETFを採用してない理由は、主に2つのリスクが気になるからです。
一つ目は原油は中東国との政治的な駆け引きもあり、常に政治リスクが絡んでくる点、
もう一つはこのエネルギーセクターはそのほとんどが原油関連の企業で構成されており、今後のエネルギー革命によっては大きな産業構造の変革がありうるという点です。
どちらの心配についても、今以上に原油価格が下がる可能性はどちらかというと僕は低いと思っているのですが、安心して買えるかというと引っかかるところがあります。
少なくとも、生活必需品やヘルスケアなどが今後も間違いなく僕らの生活の一部を占めることになるだろうという確信には及ばないところがある、ということです。
近い将来、原油価格が回復するようなことになれば、一気にリターンを見込めるかもしれませんが、それがいつなのかは僕にはわかりませんし、そういう博打をするのは僕の投資スタイルに反します。
結論としては、優良なセクターであるのは間違いないし、原油価格の行方によっては大きなリターンを見込める可能性も高いが、僕はより確実性の高そうなセクターを選択したい、という感じです。

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