簡単解説!トービンの分離定理




現代ポートフォリオ理論に出てくる概念で、トービンの分離定理というものがあります。

これは良いポートフォリオを考える上で、とても有用な考え方なので覚えておきましょう。

数式とかは出てこないので数字が苦手でも大丈夫ですよ。

まずは効率的フロンティアという言葉から説明します。

効率的フロンティアとは?

効率的フロンティアとは、投資家が選択可能なポートフォリオの資産配分のうち、投資家にとって最も有利と考えられる選択肢の集合です。

ここで「最も有利」と言っているのに選択肢の「集合」となっているのは、投資家のリスク許容度によって最適解が異なるからです。

逆にいえば、あるリスク許容度が与えられれば投資家の最適なポートフォリオ(あるリスクあたりの最大リターンを持つポートフォリオ)は全投資家にとって一意に定まる、ということです。

リスクあたり唯一最適なポートフォリオ、そんなものが本当にありえるのでしょうか?

もちろんこれに罠があります。

「最適なポートフォリオ」を求めるには、各資産のリターン、標準偏差、相関係数を用いてるわけですが、当然過去のリターンや標準偏差が未来にも再現されるとは限らないわけです。

だから結局、よりよいポートフォリオを考えるには、過去のデータに加えて投資家の主観を交えて考察をしなければならず、個人の未来予測の数だけ最適なポートフォリオが存在します。笑

ただ、より良いポートフォリオを考える上での補助線としてはとても有益な理論ですので、覚えておく価値はあるでしょう。

効率的フロンティアにおいては、例えばリスク許容度が10%の人と20%の人では最適なポートフォリオの構成が異なる、というのがポイントです。

リスク許容度が10%しかない人は債権の割合が増えるでしょうし、20%の人ならより積極的な株式中心のポートフォリオとなるでしょう。

トービンの分離定理とは?

先ほどは、ポートフォリオの構成比を変えることによって、個人のリスク許容度に合わせた調整を行ってきました。

しかし、トービンの分離定理を使うとこうした煩わしさから開放されます。

トービンの分離定理というのは、リスクリターン比が最も良いポートフォリオの構成を一つだけ用意し、そこに無リスク資産(国債、現金等)をリスク許容度に応じて追加することで、ポートフォリオの構成は何も変えずに個人のリスク許容度に合わせた運用ができるとした理論です。

もしリスク許容度が低い人ならば無リスク資産を多めに持つでしょうし、リスク選好度が高ければ無リスク資産を持たないか、またはレバレッジをかけることによってリターンを底上げします。

当サイトのポートフォリオで運用をするときも、この方法を適用することができます。

シーゲル流、日本人向けポートフォリオ

2017年2月20日

リスク許容度が低い人も高い人も、常に同じポートフォリオを作り、それとは別に残しておく現金、あるいは国債などの無リスク資産でリスク調整を行うことができます。

僕がこの方法が良いと考えているのは、シーゲル教授による長期における株式と債権のリスクリターン比を参照しているからです。長期における株式はリスクリターン比がずば抜けて良いため、ポートフォリオは基本株式で構成して、あとは無リスク資産でリスクを調整するのがお手軽かつ効果的だと考えています。

ところで、市場が超合理的だと考えた時、分離定理によって採用される唯一最適な株式のポートフォリオというのは一体どんなポートフォリオでしょうか?

ありえない仮定に基づいた話ですが、市場が超合理的だとあらゆる偏りがなくなるため、全株式を時価総額比で構成したポートフォリオがよくなるとされています。こうすることによって、個別株による個別のリスク(非システマティックリスク)を限界まで排除できるからです。

また、この考え方はもう一つ示唆に富んでいる点があります。

それは、あるリスクリターン比の良いポートフォリオを発見できれば、金額の大小は考えずにそのポートフォリオを採用して良いということです。

投資額が10万円のときも、1000万円のときも、最適なポートフォリオに変化はありません。

ただし現実的な問題として、細かい売買は手数料が高くなるため、投資額が小さい場合はもっと簡易的なポートフォリオを採用することになるでしょう。

積立などで徐々に投資額を増やしていく仮定で、脳内に描いている理想のポートフォリオに近づけていく、というようなやり方が好ましいと考えています。

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