ウォール街で勝つ法則で学んだことのまとめ




「ウォール街で勝つ法則」(ジェームズ・P・オショーネシー著)を読みました。

値段がアホみたいに高くて躊躇していたのですが、読んでみてよかったかなと思っています。

なんというか、ひたすらデータばかりが載っている飾り気のない本で、データ厨の、データ厨による、データ厨のための本という感じで僕が好きなタイプの本でした。

簡単に要約していきます。

PER、PBR、そしてPSR

この本には、様々な割安指標を使ったときのデータが載っているのですが、よく使うPERやPBRの他に、あまり聞き慣れないPSRという指標も登場してきます。

初心者の方もいらっしゃると思うので、PERやPBRも含めて定義を確認していきましょう。

PERとPBRの定義を確認しよう

  • PER(株価収益率)= 時価総額 ÷ 純利益

これはおそらくもっとも有名な指標ではないでしょうか。

時価総額を純利益で割った値なので、純利益にたいして株価が割高であるかを見るための数値です。

PERは逆数にすると株式益回りとなり、投資対象としての株式を直感的に考えることができてとても便利です。

例えばPERが20倍であれば、20の逆数は1/20ですので、年間に株価にたいして5%の利回りがあることになるわけです(あくまで企業が稼ぐ利益ですから、配当利回りとは別ですよ)。

  • PBR(株価純資産倍率)= 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)

PBRも株式の割安性を考えるときによく使われる指標です。

PERは純利益に対しての株価の割安性でしたが、PBRは純資産に対する割安性を求めます。

PBRは1倍のときに株価と企業の純資産が等しくなるため、理論的にはこれ以下にはならない(株式会社が解散すると株主に資本が配られるため)はずなので、PBRが1倍以下というのは極端に割安となっている状態ということができます。

PERはフローに対しての割安性、PBRはストックに対しての割安性を考えるのに用いられる、とまとめることができますね。

割安株は一貫してリターンが高い

「ウォール街で勝つ法則」のデータ上(1951-1996年)では、PER、PBR、どちらを使った場合も割安株は高いリターンをあげています。

この本の中では、株式のパフォーマンスを測る上でシャープレシオを重視しており、リスクが高い代わりにリターンも高い小型株よりも、値動きが安定した大型株のデータが豊富に紹介されていますが、大型株から抽出した低PER、低PBRも優秀なリターンを残しています。

低PER、低PBRの株式が高いリターンをあげているデータはシーゲルのデータとも共通しており、割安株投資の合理性がより一層裏付けられた形ではありますが、シーゲルのデータ上は低PBRの株の中では大型株よりも小型株のほうが圧倒的に優れた成績を残しており、一部データにズレがあるように考えられます。

「ウォール街で勝つ法則」では、最初に時価総額2500万ドル以下の超小型株は、実は小型株の中でも突出してリターンが優れているが、流動性が低すぎて実際には投資信託の対象とならず、個人投資家にとっては数が多すぎて買いの対象にならないため事実上売買するのが難しいジレンマがあると紹介されています。

これは僕も知らなかった事実なので、小型株投資をするときは考えなれけばならない点として今後、気をつけたいと思います。

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2017.09.01

さてさて、面白いのはここからです。

次はPSRという指標を紹介します。

PSRとは?

PSRとは、時価総額を売上高で割ることで求めることができる、売上に対する株価の割安性の指標です。

PSR(株価売上高倍率)= 時価総額 ÷ 売上高

PERと似ていると思いますが、PERは純利益を使うのに対してPSRは売上高を使います。

PERは直感的に正しそうな感じがするんですが、PSRは違和感がありませんか?

だって、売上がいくら多くても利益が出てなかったら意味ないですよね?

PSRを使った場合、利益率が高くて大きな利益を出している企業も、売上が小さければ割高という判定をされてしまうわけです。

しかし驚くべきことに、この本のデータ期間においては、もっとも割安性を判定するのに優れていた指標はPSRだったというんですね。

今でいえば、巨大な売上を出しつつも巨額の設備投資を続けるAmazonなどはPSRで判断した場合はそれほど割高ではないことになります。

確かに、こういった事例を考えるとPERよりもPSRで考えたほうが適切に企業価値を判断できる、ということがありえるんですねえ。

RPS(レラティブ・プライス・ストレングス)─勝者は勝ち続ける

もう一つ、この本で紹介されていたことの中で特筆すべきことをあげておきます。

RPSというのは、前年の株価上昇率のことで、RPSが最大の銘柄は前年に株価が最も上昇した銘柄です。

この本の中では、前年最も値上がりした50銘柄と最も値下がりした50銘柄のパフォーマンスが比較されています。

結果は驚くべきほどの大差で、前年最も値上がりした50銘柄の年率リターンは14.31%、最も値下がりをした50銘柄の年率リターンは3.3%です。

ちなみに、全銘柄の年率リターンは13.23%でした。

つまり、前年値上がりをしていた株は勝ち続け、値下がりをしていた株ははっきりと負け続けていたということです。

先ほど紹介したPSRと、このRPSがこの本が推奨する2大指標ということになっています。

バリューとグロースは相反しない

バリュー株というのはPERやPBRなど、わかりやすく定義することができるので明確ですが、一般にグロース株というときに定義が曖昧なことがあります。

特に、株の分類マトリクスなどにおいてはバリューの対極としてグロースが配置されることが多いのですが、今回この本を読んでいて感じたことは、そもそもバリューとグロースは相反する概念ではない、ということです。

この本で推奨されているのはバリューかつグロース(前年大きく値上がりしている株)であり、値上がりをしている株のPERがすでに高くなっているとは限りませんし、逆に前年値下がりをしているからといって割安水準にあるとはいえないわけです。

またこの本で強調されているのは、一貫した方針の重要性です。

どんなことがあっても、決めた戦略を一貫して実行する、これができないからアクティブファンドは負け続けるのだ、と何度も語られています。

この本の疑問点について

よい読書だったと思いますが、いくつか疑問点もあります。

例えばRPSというのは前年のチャートを参照して意思決定をするのですから、これはテクニカル分析に分類されるはずであり、市場にこうした単純なパターンがあるのであれば、いくらでもAIによる自動トレード等で利ざやを狙うことができるはずです。

コンピュータ取引が大半を占めると言われる今、こうした単純なルールで市場を出し抜くことができるかについては、やはり僕は懐疑的です。

データも1996年までのものなので少し古く、シーゲル教授のデータのほうが期間の長さと新鮮さという意味では上といえるでしょう。

また、せっかくなのでPSRを参照しているETFがないかなと探してみましたが、軽く見つけた感じだと見つかりませんでしたので、自分で個別株を大量に購入してリバランスしていかなければならないとすると、実践的にはすこし難しいといえるかもしれません。

とはいえ、大量のデータを眺めていると、それを抽象したレヴェルにおいての法則性がみえてきて、とても勉強になります。

株式投資の解像度が少しあがったんじゃないかな、と思える良書でしたのでオススメです。

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