「時間分散すると安全」に騙されるな!




投資において、初心者を騙す手口としてよく用いられるのが、投資のタイミングを分散させてリスクを低下させるという時間分散という概念です。

時間分散という概念がいかにデタラメなのか解説していきましょう。

一括投資と時間分散投資の比較

株式投資であなたがある金融対象に投資しているとき、あなたがその金融対象から得られるリターンとリスクは、あなたが持っているその金融対象の時価総額に比例します。

例えば、あなたが今現在持っているVTIに100万円分の価値があり、リターンが3%もらえるのであればリターンは3万円です。200万円分持っていたらリターンは6万円になります。

もしVTIは10%下落してしまった場合は100万円分であれば10万円、200万円分であれば20万円の損失が出ます。リスクもリターンと同じように比例しています。

ここまでは当たり前ですよね?

では、わかりやすくするために、あなたは資産50を持っており、この世界では資産1を投資すると1年あたりリターンが1もらえる代わりにリスクが1増えてしまうとしましょう。今回は時間の分散によるリスクの低下が正しいかを検証するために、値動きの要素は無視します。

あなたはこれからの5年間、この資産50をいくつかの方法で運用するとします。

1年目にまとめて50投資する

年数 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 合計
リスク 50 50 50 50 50 250
リターン 50 50 50 50 50 250

1年ごとに10ずつ投資する

年数 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 合計
リスク 10 20 30 40 50 150
リターン 10 20 30 40 50 150

さて、こうしてみると5年間の合計のリスクは確かにまとめて投資したときよりも下がっているように見えますが、このことをリスクの低下と呼ぶのは正しいでしょうか?

少し考えてみれば分かる通り、これは全体の期間における投資額を減らしただけであり、リターンを下げた分だけリスクが減っているだけです。

もしこれをリスクの低下と呼んでいいのであれば、単に投資額を減らして1ずつ投資するとかにすれば、「リスクの低下」を実現できますよね?

リターンも下がってるけどリスクも下がってるからいいんだ!という方、次の表とくらべてみてくださいな。

1年目にまとめて30投資する(20は現金でとっておく)

年数 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 合計
リスク 30 30 30 30 30 150
リターン 30 30 30 30 30 150

このように、最初からリスク調整した投資額を一括投入する方法であれば、期間内の合計リスクは同じですね。

さて、ここで考えて欲しいんですが、時間分散論者が危惧するのって、例えば2008年に起こったような株価の急落ですよね。

先ほどの10ずつ時間分散していく方法だと5年目の株価急落リスクがやたらと高いと思いませんか?

一方で、まとめて30投資であればいつ株価が急落しても一定のダメージになります。

直感的にも、期間毎にリスクを上下させる意味があるようには思えませんよね?

さらに10ずつ時間分散していく方法だと問題になるのは、6年目以降のリスクは50からスタートだけど、大丈夫?ということです。

ずっと50のリスクを保有するのが嫌で分散させていたはずなのに、6年目以降はリスク50でOKというのは意味わかりませんよね。

時間分散させるよりも、最初から自分にとって最適なリスクを持ち続けるのでは、なぜいけなのでしょうか?

カジノのポーカーゲームを思い出してみよう

ある金融商品に対して、単に投資額次第である一定期間におけるリスクとリターンは決まってしまう。

この意味においては、株式投資というのはゲームセンターによくあるようなポーカーマシンと変わりません。

唯一の違いは、株式投資は期待値がプラスでポーカーマシンはマイナス、というだけです。

時間分散投資というのは、ポーカーマシンに向かって、最初は1コイン、次は2コイン・・・・と時間分散させているのと同じようなものです。

時間分散の正体とは?

時間分散というのは買った直後のメンタルを安定させるために、最初だけ投資額を減らしておく手法でしかないんです。

事実上はただ投資額を減らしているだけなんですから、これを「時間分散によるリスクの低下」と呼ぶのははっきりいって詐欺です。

時間分散させるよりも、最初に自分がどれだけのリスクを取れるのかをしっかり考えた上で、調整しただけの額を最初からドサっと投資するのをオススメします。

もちろん、最初はよくわからないから少しずつ買い増しをしていきたいというのであればそれはそれで良いと思いますし、長期的に積立の習慣を作ることの重要性を否定するものでは決してありません。

ただ覚えておいてほしいのは、時間分散はリスクを低下させるという意味では何ら有効な手段ではないということです。

ドサッと投資するだけの資金なんてねーよ!って方はこちら。

小額投資家にどうしても伝えたいこと

2017年9月26日

時間分散についての記事、後編。

時間分散を再定義する

2017年9月29日
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2 件のコメント

  • 最近投資の勉強を始めた、投資初心者です。
    大変勉強になる記事でした。
    そこで質問なのですが、ドルコスト平均法確かにこのブログにある様に株価急落などのリスクは減らすことはできないと分かりました。
    しかし、ドルコスト平均法は買うときに高掴みしない為の方法だと認識していましたが、それについてはどうなのでしょうか?

    インデックスを推奨する本の中では今が安いのか、高いのか判断するのはプロでも難しいだからタイミングを図ったアクティブファンドの様な投資でなくインデックスを勧めると言ったことがよく書いてあると思います。
    それと同様に一回買うべきか判断するのは難しいので、ドルコスト平均法で高掴みしないやり方がいいと思っておりました。

    つまりドルコスト平均法は株価のその後の変動へのリスク分散ではなく、買うときに高く買ってしまわないための方法ではないのですか?

    この辺が疑問に思いましたので、是非ご教授願いたいです。

    • >インデックスを推奨する本の中では今が安いのか、高いのか判断するのはプロでも難しいだからタイミングを図ったアクティブファンドの様な投資でなくインデックスを勧めると言ったことがよく>書いてあると思います。それと同様に一回買うべきか判断するのは難しいので、ドルコスト平均法で高掴みしないやり方がいいと思っておりました。
      >つまりドルコスト平均法は株価のその後の変動へのリスク分散ではなく、買うときに高く買ってしまわないための方法ではないのですか?

      コメントありがとうございます。
      今の値段が高いか安いかが判断できないというのはつまり、その後あがるかさがるかわからないということを言い換えているだけですよね。
      株式市場において、「明らかな高値」というようなものは存在しません。そんなものがあれば、賢明な投資家やらAIがカンタンなアルゴリズムで爆益を叩き出せるはずですから。
      「高すぎる株は戻る」「安すぎる株はあがる」というようなジグザグのチャートを連想するような考え方は、バリュー投資家を自称する人たちが陥りやすい誤認です。

      もちろん特定の形のチャートを想定すれば、「こういう時にはドルコスト平均方のほうが一括投資よりも得する」ということはできますが、ランダムなチャートを想定したときには不可能ですし、実際のチャートを使ったバンガードの実証によっても意味がないことがわかっています。

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