間違いだらけの株主優待リターン




株主優待という制度は、投資をはじめたばかりの初心者にはお得であるようにみえるらしく、情弱を騙すための道具になり下がっています。

以前も株主優待がまったくお得でないという趣旨の記事は書いたのですが、今日の記事ではもうちょっと細かく株主優待のリターンについて考えていこうと思います。

情弱ホイホイと化した株主優待制度

2017年8月3日

ではさっそく問題です!!

企業Aの株価が1万円だとします。

企業Aの株を1株保有していると年間1000円分のお食事券がもらえるとします。

この時、この企業の実質的な優待による利回りは何%になるでしょうか?

シンプルに間違っている回答

株主優待を煽るサイトの平均的な記述によれば、これを優待利回り10%と表現するのだといいます。

しかし、これは経済学的にきちんと考えたときの回答としては0点です。

優待券の価値を評価するためには、市場価格で考えなければなりません。

例えば、優待券が金券ショップやネットオークションなどで80%の値段で売れるのだとすれば換金したときは800円なので、この場合の実質的な利回りは8%となります──。

さて、ここで次のような反論が来ることが予想できますね。

「優待の価値は人によって異なる。俺はゲットした優待券を金券ショップで売るつもりはない。もともと俺が使っているレストランの食事代の割引に使うだけだから、この場合の実質利回りは10%でいいはずだ。」

この主張は正しいと思いますか?

機会費用を考えてみよう

これもやはり間違いです。

経済学的に損得の計算をするときは、同じ条件で比べなければなりません。

この人は、株主優待をあるレストランを使うことを前提にしているのですから、株主優待を得ていなかった場合も、金券ショップで他の人の株主優待を入手することによってレストランで割引受けることが可能だったことになります。

もともと優待券を買っていれば、毎回800円で1000円分の食事ができていたんですから、これで1000円得をしたというのは無理があるわけです。

株主優待と配当金の価値を比べてみても、例えばこの人が株主優待ではなく10%の配当金を現金で得ていた場合、その1000円で株主優待券を購入することで1250円分のレストランの優待券を得ることができたことになりますよね?

このように、何かの価値を考えるには、それを選択しなかったときに取れる、もっとも合理的な選択(機会費用)を考慮しなければなりません。

バカほど得する株式投資

2017年9月23日

つまり、株主優待の価値は誰にとっても、常に配当金よりも低いんですね。

正確には、株主優待を自分で使うことによって、金券の売値と買値のスプレッド、つまり手数料分だけは、売った時よりも得をします。また、株主優待は税金を払わなくて済んでいるケースが多い(本当は支払う必要があるが)ため、それを考えれば得をすることはあり得るともいえます。

市場という最高のなんでも鑑定団

もう少し直感的に考えても、株主優待の価値を単純に額面で考えることがいかに非常識であるかがわかります。

だって、そもそもその企業のサービスが、市場価格よりも高く設定されているかもしれないじゃないですか?

食事券はまだいいほうですが、贅沢品が優待に設定されている場合などは余計なんの参考にもなりません。

客観的に評価をするには、必ず市場の評価を受けて計算しなければなりませんが、なるべく手数料コストの低い場所の市場価格を参照するのが良いでしょう。

楽天が運営しているフリーマーケットであるラクマなら、現在は手数料0%で個人との直接取引ができますのでおすすめです。

もしその企業のサービスの値段がそもそも割高であれば、必然的にサービスの人気は落ち、金券の価格も下落します。

ある程度の流動性さえ確保されていれば、市場はとても合理的なんですねえ。

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